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無気力だけど作家志望。 『すべては陰謀!!』,『無はなによりも面倒だ』,『LonEly』連載中。
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亮は右ポケットからくしゃくしゃの1000円札を取り出すとそれを瑠は満面の笑顔で奪い取った。

「ごめんねーリョウ。いつか返す!」

「二度と返ってこないだろうがな」

はっきりいうと俺は今かなり逃げたい。

毎度のことなのだが姉貴は人前で堂々と俺に抱きついてくるのだ。

そんなことするから俺は周りの目も気になるわけだし今でもひそひそと俺達の噂をしている声がきこえてくる。

こんなにうるさいゲームセンターなのになぜか俺達の噂だけはしっかりと耳に入ってきた。

「あれって兄弟なのよね?」

「あっちが姉で…弟かしら?」

「なら姉弟ね。それなのに…まぁ……」

兄弟だろうが姉弟だろうがそんなことはいいからそうやって俺達の噂をするのだけはやめてくれ……帰りたい。

だから本当に面倒なんだよな、すぐに姉弟だってわかるのは。

ただの兄弟だったのなら別にカップルだと思われていたかもしれない。

でも…そう…俺達は異性一卵性双生児。

いわゆる、双子なのである。

だから、顔がそっくりだ。

 

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「まだわかんないの?あんた結構頭いいと思ってたのに。1000円くらいしか使ってないとする。でも、10000円

っていえばそれだけもらえるってことなの!!」

亮はさらにあきれた。もうどうでもいい、はやく帰りたい。

「詐欺だろ」

「いいのいいの!倍になるんだから」

いやいや、そういう問題じゃなくてさ。

「だからこのボロいぬいぐるみとっちゃえばいくらでももらえるようなもの!」

と瑠は目の前の安っぽい熊のぬいぐるみを指差した。

有名なあの黄色い熊だ。クリスマス限定らしい。

「普通、UFOキャッチャーごときに10000円も使うか」

「いいからいいから!はやくお金!」

「だからないんだってば」

亮はもう片方の後ろポケットから小銭入れを取り出すと中を見せた。

本当に45円しか入っていなかった。

「これで私があきらめて帰るとでも思ったの?」

亮はかなり嫌な予感がした。まさか…あのことを…こいつが知ってるのか?

「…ズーボーンの右ポケット!!なにが入ってるのかしら?お姉さんにいってごらんなさーいっ」

「なにって…なにも…」

「うそおっしゃい!!そこには1000円札が……」

「は、入ってねぇよ」

リョウの顔をみるとそれが嘘だとよくわかる。あきらかに目線をそらしているのだ。

しかもどこを見ているのかわからない。

「わーたーせっ!!」

そういってリュウはリョウの腰に抱きついてきた。リョウは一瞬驚いたがいつものことなので冷静にリュウの手を

ほどいた。

あぁ…もう…人がいるところですんなよな…。あきらかに俺達が姉弟だってのバレてるんだからさ。

「わかったよリュウ。ほら1000円」

 

 

あるデパートのゲームセンター。耳障りな音楽。

「100円入れてね」、「カードを入れてね」、「メダルを入れてね」という何度も繰り返される声。

こんなにも耳障りな声がしつこく繰り返されるのにこのゲームセンターには大勢の客がいた。

家族や友人、中にはカップルできている客もいる。そんな中、一見カップルかと見間違えてしまうような2人組が

いた。だが、その2人組がカップルではないということは顔をみればすぐにわかる。

2人は、姉弟なのだ。

「リョウ!今よ!今!はやくボタンを押すの!」

「え…あ…今?」

リョウと呼ばれた男は慌てて①と書かれた黄色いボタンから左手の人差し指を離し、②と書かれた黄色いボタ

ンをもう片方の手の人差し指で押した。

「あ、バカ!遅いって。あ~あ。なにもつかめなかったじゃないの!!」

「そんなにいうなら姉貴が自分でやれよ」

「あたしは命令係なの!わかった?」

「わっかんねぇよ…」

「いいからもう一回。100円入れなさい」

リョウはジーパンの後ろポケットに手を入れて何枚かの小銭を取り出した。

だが、その中には必要なシルバーの100とかかれた小銭は一枚も見当たらなかった。

「残念。なかったよ。帰ろーぜ姉貴」

「あぁもう!なんで多めに持ってこないのよバカ」

「バカは姉貴。こんなボロいぬいぐるみなんていらねぇよ」

「あたしだっていらないわよ!」

「ならなんで…」

とリョウが言いかけると姉のリュウは亮の言葉をさえぎるようにして怒鳴りつけた。

「だからさっきも言ったでしょ?うちの弟がこれ得意だから取ってきてあげるって依月にいっちゃったの!」

ちなみに依月というのはリュウの同級生であり、これというのはゲーセンの定番であるUFOキャッチャーのこと

である。

「勝手なことすんなよ。それに金ぐらい普通にもらってこいよ」

リョウがあきれ気味にいうとリュウも少し引き受けたことを後悔しつつ、話を続けた。

「あのね…まぁ確かに勝手なことを引き受けちゃって悪いと思ってるわよ。」

「ほんとかよ」

リョウが即答するとリュウは一瞬ムッとなったがそれでも話を続けた。

「けどこっちだって金もらってないのに引き受けるはずないわ!」

「ならなんで引き受けたんだよ?ますますわからん」

「金はね、使った分だけ返してくれるんだって!」

本気でリョウは実の姉に対してあきれてただ一言しかいえなかった。

「なに嬉しそうな顔していってんの………当たり前だろ」

あきれているリョウに気づかないふりをしてリュウはよりいっそう嬉しそうな笑顔で言った

 ごめんね。

 鼻がつまってて味がしないんだ。

 ごめんね。

 なのにおいしいっていっちゃって。

 ごめんね。

卵の黄身だけとって食べちゃって。

あ。でもね、じゃがいもの味だけはしたよ。

 なぜかは知らないけど。

ふりかけの小魚も

キャロットジュースの最後の一滴も

 

おいしかったよ。

1人は自由だ。

そう思う人が何人いるだろう。

なにもないのは楽ではいい。

そう思う人が何人いるだろう。

別にその考えが間違っていると決めつけるわけでも、そうだともいわない。

でも僕はそう思う。

なんにもないのも、たった1つなのもものすごく面倒なことだ。

 

そして寂しい。

 

それだけで人間は苦しくてたまらない。

ものすごく弱くてバカみたいだと思う。

人間は様々な面に置いてなによりも優れた能力を持っているという。

そうか?

仲間がいないと寂しい。

そんな気持ちや

些細なことでも嫌なことがあると気分が沈んでしまったりして

苦しみ

を感じているではないか。

それが優れている?

動物とは違って人間は気持ちや心を持っているという。

いらないよ、そんなの

 

第一章 だから僕は無

眠たい。

本当に眠たい。

眠らないといけない人間は弱すぎて弱すぎて。

感情とかそういうのはいらないから

もっと丈夫につくってよ。

脆すぎて怖いよ。

窓の外から女子や男子の騒ぐ声がきこえる。

こういうのを耳障りだと思う気持ちもいらないよ。

不快になるだけだよ。

「くそっ眠ってたまるか!」

しまったと思った頃にはもう遅い。

恥なんて感情もいらないよ。

なんか惨めなんだ。

教室内が笑いに包まれ、教師は半分あきれ顔で微笑していた。

「くそっ眠ってたまるかだってよ。」

「笹山の奴寝てたの?」

「らしい。バカだよバカ」

 

 

 

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